東中野のさくら並木
みなさま、すでにご存じかと思いますが、ハドソン前に広がる美しいサクラ並木?が、伐採の危機にあります。この地域は昔から「桜山」と呼ばれ、山桜が一面に咲く美しい高台だったそうで、今でも「桜山町」として、その名を残してます。
戦後、東京大空襲で焼け野原になった桜山を哀しみ、付近の住民が、当時の国鉄に嘆願して、線路端の土手にソメイヨシノを植えさせてもらい、住民の手で、長い間大切に守ってきました。
このサクラ並木は、同時期に咲く黄色い菜の花とのカラーコントラクトが美しく、それらを背景に走る中央線のベストショットが、鉄道カメラマンの間でも話題の人気スポットです。
この美しいサクラ並木は50余年の間、ここに暮らす人々に夢と希望を与えてくれました。また、電車の騒音を和らげ、真夏の暑い日射しを遮ってくれ、私たち住民は、このサクラの並木を誇りに思い、美しいサクラ並木に癒やされて暮らして来たのです。
3月9日の未明、大きなチェーンソーの音を立てて、いっぱいに蕾を付けたサクラの枝が、無惨にも切り落とされているあの瞬間を、寝ぼけまなこで目にした時は、今起きている現実を理解するのに時間がかかりました。
そんな事をする日本人がいる訳がない。誰が、なぜこの時期に蕾を付けたサクラの枝を切り落とすのか、あり得ない光景でした。私と夫はパジャマのまま外に飛び出して、3台くらいのクレーン車 で同時伐採中の作業員たちを必死で止めました。 すでに、一本のサクラの樹は切り倒されていました。まさしく悪夢のような出来事でした。
このような原始的な行為が、先進国を謳っている日本で、地球温暖化対策を提案している首都、東京で、実際に起こるとは誰が信じましょうか。これは、東京都中野区の東中野で起きた哀しくも、本当のお話です。
草花も木も、みんな厳しい気候変化に必死で耐えて、美しい花を咲かせて、私たち人間を癒してくれています。老いても尚、美しい花を咲かせ続けてくれるサクラの古木、伐採しか手段を見出せない愚かな人間にはなりたくないですね。
店主
まさに枝を切り落とされていた「伐採番号6番」の桜の木、ハドソンの前。
中野区役所は桜の開花後、尚、「伐採に変わりなし」と東京新聞の取材に答えています。